ピンクフロイド、ポール・マッカートニー、レニー・クラビッツ、エアロスミス、ケイト・ブッシュ等々、音に対する超ハイクオリティーを求めるミュージシャン達のレコーディングスタジオのプロ音響機器の製作やモディファイ、またメンテナンスでティム・デ・パラヴィチーニはプロフェッショナルフィールドにおけるレコーディング業界の音質向上に多大な影響を与えています。
昨今は、ハードウェアのみならず「モービル・フィデリティ」を筆頭にSACDやアナログ盤のリマスター等、パラヴィチーニのプロ機器を駆使してソフトウェアの音質向上にも大きく貢献しています。
「EAR HP4」は、パラヴィチーニのプロスタジオにおける音響テクノロジーをフィードバックした管球式ヘッドフォンアンプとして開発されました。
昨今、配信音源やiPod等のポータブル音楽プレーヤーの普及により、場所を選ばずに音楽を楽しむツールとして多種多用なヘッドホン/イヤホンが開発され、スピーカーではなくヘッドホン/イヤホンで音楽を楽しむ音楽ファンが増えています。
しかしプロスタジオにおいてヘッドホンが活躍する場面は、一般的なイメージとは異なり、実際にはそれほど多くはありません。アーティストが録音する際にスタジオ側でモニターするような場面や、些細なノイズの確認をするような場合はヘッドホンが使用されますが、ミキシング・コンソール等の各種録音機材を駆使して音楽を記録するコントロール・ルームではスピーカーから音を出力して音楽を聴きます。
これは、ヘッドホンの直接的に聴覚に音を伝える方法よりも、スピーカーから発せられた音源が、多くの質量を持つ空気を振動させて耳まで届いた方が、より自然で、臨場感やリアルさを表現でき、尚且つ豊かなサウンドステージや定位を目の前に立体的に映し出し易いからです。
高域は上に、低域は下に、そしてスピーカーよりも手前で鳴っている音もあれば、奥で鳴っている音もあり、スピーカーの位置からはみ出して聴こえる音も沢山あります。
ところがヘッドホンの場合は、音の広がりは左右の耳の位置までで止まり、奥行き感を含めた立体的な音楽の描写が、構造上難しくなってしまうのです。
「EAR HP4」は、そのようなヘッドホン/イヤホンの限られた音場を、「深さ」と「描写」という方向から追求したヘッドホンアンプです。
非常にハイスピードで、真空管から連想される甘さやウォームさのようなアーティスティックな演出された音ではなく、リアルでダイレクトでありながらも美しい艶が輝きながら音楽の緻密さを豊かに表現します。
静寂性の高さが静と動のコントラストをダイナミックに表現し、楽器の放つアタックやサスティーンの減衰を深さたっぷりの余韻を残して紡ぎ出します。ヴォーカルの口元の動きや息づかいをも官能的に描写し、スピーカーから放たれる音の臨場感とは異なるリアルさが感じられることでしょう。
6SL7を使用したパラヴィチーニ独自の真空管ートランスカップリングサーキットは、2段のシングルクラスAとし、ヘッドフォンアンプとしては非常に高いおよそ1000mWの出力を達成。ハイクオリティーで低歪みの信号をハイ、及びローインピーダンスに対応したヘッドホンアウトプットへ出力します。最終段はパラヴィチーニの傑作回路として評価の高いエンハンストライオードモードクラスAパラレル動作を採用し、圧倒的な瑞々しさと透明度を誇ります。
またフロントパネルに設けられたスイッチで信号をバイパスしてパワーアンプへ出力し、瞬時にスピーカーモニターへ切り替える事も可能です。ヘッドホン/スピーカーへのモニター切換えが簡単にでき、入力、出力ともにバランス、アンバランスを1系統づつ装備してフレキシブルなシステムアップに対応しています。
パラヴィチーニ/EARがヘッドホン/イヤホンという音楽環境を考慮して創り上げた独自の美しく繊細な描写と深淵なる音世界。スタジオ環境で鍛えあげられた最高峰の耳と感性を持つプロ達が創り上げた音と音楽が、今、あなたの耳元で豊かに鳴り響きます。
インプットインピーダンス:
アウトプットインピーダンス:
感度:
チャンネルバランス:
残留ノイズ(ボリューム最小):
ディストーション:
ヘッドホン出力:
入力:
出力:
アウトプット:
使用真空管:
消費電力:
サイズ:
重量:
40 kΩ
2 Ω
300 mV
±0.5
90 dB
0.5%
ハイインピーダンス×2、ローインピーダンス×2
RCA ×1、XLR ×1
RCA ×1、XLR ×1 (入力信号スルーアウト)
approx. 1000 mW
6SL7 × 4本
21 W
W 245 x H 108 xD 330 (mm)
7.6 kg