アナログサウンドが持つ、真に心地よい音楽の響かせ方を感覚的にも、経験的にも、そして技術的にも熟知する「ティム・デ・パラヴィチーニ」は、プロフェッショナルフィールドにおけるアナログレコードのマスタリングだけに留まらず、CDのマスタリングにおいても数多くの機材や技術提供を行って来ました。
「EAR DACute」はパラヴィチーニが「デジタル音源から求めた、アナログサウンドの心地よさ」に挑戦した意欲的なミュージカル・デジタル・アナログ・コンバーターです。
昨今隆盛を極めるMP3プレーヤーを含む携帯端末を中心とした配信音源は、新たな音楽ソースとしてマーケットの主流になっています。高音質を誇るハイレゾリューション音源も登場し、プロフェッショナルの現場においてもデジタル音源の需要はますます高まっています。
一方、欧米を中心として加速するアナログレコードの需要は、若年層を含め年々高まりを見せ、著名アーティスト達もこぞってアナログ盤の新譜をリリースする等、そのムーブメントはかつて無いほどの勢いを誇っています。
これは、単に「音が心地良い」とか「かっこいい」という理由からであり、ノスタルジーや懐古主義とは無縁の、純粋に、「音楽を楽しもう」、「音楽と真剣に向き合おう」、という姿勢が形となって現れてきた証左となるものでしょう。
「EAR DACute」は、まさにそのアナログの持つ心地よさをデジタル音源から紡ぎ出す、世に溢れるいかなるDACよりもアナログな響きを奏でる管球式DACです。
パラヴィチーニが設計した独自のアナログフィルタを通過した音声信号は、EAR製品のプロ用オーディオ機器のサウンドの要となる2本のPCC88とトランスが連結された所謂「チューブ式トランスカップリング」を備えた出力段を介して、アンバランス出力用のRCAソケット、或いはバランス動作用のXLRから出力されます。
この段階でデジタルサウンドは、あたかもアナログレコードの持つ独特の温かみと厚み、そして音圧とスピード感を持った音質に変換され、さらにチューブの特性にマッチするように仕立てられた出力トランスは、パラヴィチーニ自身が手巻きで納得する音が得られるまで、幾度と無く試行錯誤を繰り返した後に完成させたオリジナルスペシャルメイドです。
また、アナログアウトにはバランス/ アンバランスともに最大5Vrms の出力を与えることにより、プリアンプを介さずともダイレクトにパワーアンプに接続して駆動する事が可能となり、よりストレートでピュアなサウンドを楽しむことも出来ます。フロントパネルのアナログ式ヴォリュームで出力をコントロール出来ます。
最大で24bit/192KHzのデジタル入力に対応する「DACute」は、フロントパネルに設けられた4つのボタンで、CD、S/PDIF、Toslink、USB の入力を選択し、その右側に配置されたインジケーターにより「シグナルロック」、「24 BIT」、またサンプリングレート(44.1、48、88.2、96、176.4、192KHz)等、現在の入力情報を確認できます。
「まるでアナログのようなデジタルサウンド」考えてみれば滑稽な表現かもしれません。
「それなら初めからアナログを聴けばいい」それは限りなく正解に近い回答かもしれません。
しかし、「King of Analog」の異名を持つパラヴィチーニが挑んだこの「DACute」の奏でる音楽を聴けば、理解できるでしょう。「DACute」も限りなく正解に近い回答であることを。デジタル音源であろうが、アナログ音源であろうが、それが「心地よい音楽」であることを。
D/A コンバーター:
デジタル入力:
デジタル出力:
アナログ出力:
使用真空管:
出力インピーダンス:
推奨負荷:
歪率:
周波数特性:
消費電力:
サイズ:
リモコン:
24ビット・マルチレベル・デルタ・シグマ・コンバージョン
USB (32-192 kHz)、2 x 75 Ω
Coaxial,
S/PDIF (44.1-192 kHz),
Toslink Optical (44.1-96 kHz), 16-bit, 24-bit共に.
Toslink Optical S/PDIF
Phono: 5 V rms シングルエンド; バランスXLR: 5 V rms (XLR 2ホット)
2xPCC88 / 6DJ8
<60 Ω(バランス、又はシングルエンド)
>600 Ω(バランス、又はシングルエンド)
<1%
20 Hz - 20 kHz
10 W
W 435 x D 320 x H 95 mm
ボリュームのアップダウンのみ