パラヴィチーニ自らの名前を冠した究極のプリアンプ「Paravicini 312」。
パラヴィチーニが長い年月を掛けて、匠の技を鍛え、磨き上げてきたトランスフォーマーカップリングの技巧による、その秀逸なフォノセクションを独立させ、コアなアナログファンのために更にフレキシブルな使い勝手の良さと、高品位なアナログサウンドを突き詰めたモデルが「EAR 324」です。
フォノカートリッジが発する僅かな電気信号を増幅することは、エレクトロニクス分野において最も難しいテクニックの1つだと考えられています。
パラヴィチーニは、この問題を解決するために数十年の歳月を掛けて、ノイズが少なく、効率的かつ優美でダイナミックな音質が得られるようにリファインを重ねてきました。
その結果、様々なMC/MMカートリッジの持つポテンシャルを正確に、ローノイズで、さらに音質劣化が無いように引き出すアナログファン垂涎のフォノコントローラーが完成したのです。
「Paravicini 312 Control Center」と同じ超ハイクオリティーのインプットトランスフォーマーをはじめ、MC3 ステップアップトランス、また同じくパラヴィチーニデザインの出力トランスが駆使され、最高品質のアナログサウンドが楽しめるようにデザインされています。
ユニットはシングルエンドのピュアクラスAデザインとし、高いスタビリティーを確保するとともに、瞬間的なオーバーロードからも開放されたユニークなRIAA イコライゼーションサーキットを持ち、ワイドレンジでリニアな周波数特性を得ています。
AC安定化電源を使わず、高周波の変動をスムーズに出力するためにマルチステージフィルターを、また整流回路へのリブル/脈動やピーク電流を抑え、信頼性の向上やトランスフォーマーのノイズを下げるためにチョーク/インダクターを使用して、極めて高度な安定化を図っています。
2系統のシングルエンド入力、そしてシングルエンド/バランス出力を1系統づつ装備し、トグルスイッチで出力の切換えができ、2つのターンテーブルやダブルアーム仕様のターンテーブルを接続して、簡単にそれらの切換えを行えます。
2つの入力のうち1つはスイッチ切換えでMM/MCの両方のカートリッジに対応し、もう1つはMM専用となります。
フロントパネルには、カートリッジの性能をフルに引き出すための各種パラメーターの切り換えノブが並びます。
MC入力は40、15、4Ωがセレクトでき、MMカートリッジについては、15k/22k/33k/47k/100kの入力キャパシタンス、及び20pF/100pF/220pF/330pF/470pF の入力インピーダンスが選択可能です。
また、ゲインコントロールにより、フルゲイン(0)、-6、-12dBのアッテネーションも調整が出来ます。
これらの豊富な各種セレクターにより、カートリッジの最適なローディングの選択と最適なノイズコントロールが可能となり、カートリッジの持つ潜在能力やケーブルとのコンビネーション能力を最大限引き出します。
位相反転スイッチは、シェードドッグラベルやマーキュリー・リビング・プレゼンス等のオリジナルヴィンテージ盤においても、スピーカーケーブルを反転して差し替えること無く、スイッチ1つでストレス無く簡単に位相を適正化して、その素晴らしい録音を楽しめます。
もちろん、MONO/STEREO スイッチでDecca、RCA、Capitol等の1950年代以前の素晴らしいMono録音を楽しむことも出来るでしょう。
パラヴィチーニが掲げる「オーディオ装置は独自の音を持ってはいけない」という基本姿勢が貫かれた「EAR 324」は、パラヴィチーニ自らが手巻きによってデザインしたハイクオリティーなトランスを使用し、自らを犠牲にするかの如く個性を主張することはありません。
しかしその代わりに、最高レベルの静寂性が僅かな音の瞬きをも逃さず捉え、複雑なオーケストレーションにおいても、全体のスケール感とロケーション感を失うこと無く、各楽器の持つ音色とハーモニーのヴォイシング、セパレーション、そしてコンビネーションをバランスよく描き出します。
ビロードのようなスムーズなベースと、通常のフォノイコライザーでは表現が厳しいサブベースの領域までもを瑞々しく、正確なピッチと質感で音の粒立ちを再生します。
ローミッドからハイミッドにおけるヴォーカルや弦楽器、ピアノ等の領域では 申し分のないリアルさと豊潤さが高度に洗練され、複雑かつ豊かな倍音成分を含んだパフォーマンスと息を飲むような絶妙なニュアンスを楽しめます。ここは「EAR 324」の最も魅力的なパートでしょう。
アッパーミッドからハイにかけては透明度の高い上品さと鮮明さが美しく、シンバルやピアノ、ストリングス等のアッパーハーモニクスを正確かつナチュラルに響かせます。
シンバルフレイバーであれば、それがパイステなのか、セイビアンなのか、あるいはジルジャンなのかを聴き分ける楽しみが増えることでしょう。また、スペイシーな音の隙間に漂う残響と音の減衰感からグランドピアノ、アップライトの違いをも明瞭に感じとる事ができるでしょう。
音楽再生芸術の極みを生涯追い続ける孤高のアナログデザイナー/アーティスト「ティム・デ・パラヴィチーニ」。そのアナログを知り尽くした男が仕立てたフォノコントローラー「EAR 324 Phono Control Centre」。
アナログレコードエンスージアスト達に贈る、まさに至高の逸品です。
Specifications:
●入力:MC1系統(MM切り替え可)、MM2系統
●出力:1 BALANCED XLR、1X UNBALANCED RCA
●入力インピーダンス(MC): 4/15/40Ω
●入力インピーダンス(MM): 15/22/33/47/100k
●入力キャパシタンス(MM): 20/100/220/330/ 470pF
●出力インピーダンス: 60Ω
●Ch.バランス: ±0.2dB
●入力感度: 1V@1kHz:MM2.5mV
●歪率: 0.2%
●S/N比: 68dB
●オーバーロードマージン: 12V
●位相切替 0 / 180度
●消費電力: 5W
●サイズ: W325 x D290 x H105
●重量: 7.4kg