仕事の大半の時間をプロフェッショナルレコーディングスタジオにおける機材、例えばマスターテープマシンやアナログレコードのカッティングマシン、マイクロフォンアンプ、イコライザー、プレイバックモニター用プリアンプ、パワーアンプ等々、の製作やカスタムに費やしてきたティム・デ・パラヴィチーニは、いつの時代も非凡な耳を持つミュージシャンやエンジニア達からの非常にシビアで難易度の高い音のクオリティーを求められてきました。このようなトップクラスの高度な音への要求に応えるために必然的に選ばれたのが「真空管」でした。
「私はトランジスタのスイッチングタイムによる音の遅れが好きになれない。チューブの方が音が早く、リニアリティーが高く、ディストーションも低い。むしろ重要なのはトランスで、上手くマッチングを取れるように特別なワインディングを施してあげればタイトなベース、スイートなハイ、そしてワイドバンドで、よりダイレクトな音が表現できる。私が目指しているのは、演出されたヴィンテージライクでアーティスティックな音ではなく、もっとストレートでリアルでミュージカルなサウンドだ。」
つまりパラヴィチーニにとって真空管を起点/出発点にアンプやその他の機器を造ろうという発想は無く、求める音を追求して行くと結果的に真空管を選ばざるを得ず、そしてそれは理想の音を構成するための1デバイスに過ぎないという事が明白です。
「EAR 834 Custom」は、パラヴィチーニのプロスタジオ環境で鍛錬、そして洗練されたリアルなモニターライクな音楽製作側の視点に立った超解像テクニックと、ホームユース用に音楽的な躍動感と臨場感、そして音の艶やドライ/ウェット感という音楽鑑賞側の視点(聴点)をバランスさせたEAR社のベストセラープリメインアンプである「EAR834」にチョークを追加する等の日本特有の電源環境にも配慮した独自のアレンジを加え、日本だけの特別仕立てとした特別限定品です。
パラヴィチーニならではの、まるでミネラル成分をたっぷり含んだ、澄み切った湧水のような鮮度と、弾力のある柔らかさを湛えた音のタッチを楽しめる上に、高さと拡がり感のあるハイ、濁りのないパワフルなミッドレンジ、そして誇張すること無く、どこまでもナチュラルに楽器の胴鳴りを豊かに響かせるベースが組み合わさり、目の前で繰り広げられるミュージシャン達の息づかいやパッションが伝わってきます。ダイナミックで躍動的、そして瞬発力を要するJAZZやPOPS、クラッシックのオーケストレーション等の音源において抜群の威力を発揮することでしょう。
出力は50W、パラレルプッシュプル、クラスA サーキットを採用。使用真空管は、2xECC83、2 x ECC85、8 x EL34。
パラヴィチーニのプロフェッショナルな音のエッセンスを十二分に感じさせながらもリーズナブルなプライスを実現した「EAR 834 Custom」。ブラックフィニッシュで統一されたエクステリア同様に、その精悍で緻密で、しかししなやかな弾力性に包まれた色気ある音色をお聴き下さい。
Specifications:
■インテグレーテッドアンプ クラスA級 パラレルプッシュプル
●出力: 50W /chステレオ
●入力: 6 x line level unbalanced (RCA)
●テープアウト: 1 x Tape monitor
●周波数特性: 15Hz-40KHz (3%THD以下)
●I.M.D: <1%(10mW〜50W)
●出力ダンピングファクター: 12
●S/N: 85dB
●入力感度: 200mV
●インプットインピーダンス: 47kΩ
●アウトプットインピーダンス:8Ω、16Ω
●消費電力: 300W
●重量: 20kg
●サイズ: W405 x D405 x H150 (mm)
●使用真空管: ECC83x2 、ECC85x2 、EL34x8