「教科書に載っているような回路図を、ただ焼き直すだけのデザインは退屈だ。常にいい音を引き出すための新しいチャレンジが無ければ、私の心は熱くならない。」
ティム・デ・パラヴィチーニの天才設計者ぶりが遺憾なく発揮された、パラヴィチーニによる世界に類を見ない斬新なオリジナル回路「エンハンス・トライオード・モード」を持つシングルエンド-クラスAのインテグレーテッドアンプが「EAR 869」です。
この「エンハンス・トライオード・モード」と呼ぶ新たな3極管接続法は、3極管の音の良さと高駆動力の両立を目指して開発された技術で、ノーマルのコントロールグリッド (Grid1) はカソードに接続され、透過性のエレメントとしてグリッドとカソードを一緒にオペレートします。Grid 2 (スクリーン Grid) は、ポジティブバイアスボルテージを加えてコントロールグリッドの代わりに使用。ダイレクトヒートトライオードと、五極管と四極管の真空管(コントロールグリッドがアノードに接続されている場所)による従来の三極管接続と比較した場合、この接続法は素晴らしいリニアリティーと信頼性の向上を獲得し、そして音楽のディテールを艶やかに生み出します。
真空管と言えば「レトロ」や「ノスタルジー」の代名詞のようなイメージが付きまといますが、真空管はトランジスタを上回る超ハイスピードな増幅素子で、尚且つ入力ロスが少ないというアドバンテージを、この「エンハンス・トライオード・モード」という特別なサーキットと組み合わせることにより、歴史上存在しなかった最新のアンプデザインとして完成させたのです。
また、この独自のサーキットのためにパラヴィチーニ自らが手巻きで試行錯誤の末に完成させた大容量の超広帯域トランスがカップリングされ、実に広がり感のある、瑞々しくエレガントな表情の音を奏でます。
さらには、この「EAR 869」の岩清水のような透明感をお手持ちのシステムに簡単に組み込められるように、プリメインアンプとしてだけではなく、パワーアンプとしても使用するためのスプリットスイッチを設けてあります。
スプリットスイッチをONにすることでセレクター及びヴォリューム段をジャンプさせ、お手持ちのプリアンプの出力を「EAR 869」の「Power in」へ接続すれば、「EAR 869」ならではの空間表現の素晴らしい、瑞々しい音色が貴方のスピーカーから出力されてくることでしょう。
15Wという出力とは思えないほどのパワー感、そしてEARのインテグレーテッドアンプ随一とも言える艶と色気ある美しい音色と分離感の素晴らしさは、アコースティック楽器や女性ヴォーカル等の繊細さを求めるエンスージアストにとって、堪えられない程の音楽表現に富みます。
ギターの巻弦からナイロン弦の音色の違いは勿論のこと、開放弦の美しい響きに至るまでをも紡ぎ出し、アップライトはアップライト、グランドピアノはグランドピアノのそれぞれの美点を鮮やかに響かせます。また、個性がはっきりと分かれるヴォーカルにおいては、可憐さや力強さのダイナミクスは勿論のこと、かすかなハスキーさやブレスの表情までをも情緒豊かに音楽的に捉え、生々しくも瑞々しい歌声に心奪われることでしょう。
「EAR 869」は、そんな息吹が刻まれた貴方の愛聴盤に鮮やかで美麗な生命力を与え、新たな発見と感動の衝撃を与えてくれることでしょう。
Specifications:
■インテグレーテッドアンプ クラスA級 シングルエンド
●出力: 15W×2(8Ω)
●入力: 5 x line level unbalanced (RCA)
●テープアウト: 1 x Tape monitor
●プリアウト: 1 x Pre out(Vol.コントロール段のみ)
●パワーイン: 1 x Power in(プリ/パワー切換えスイッチ付)
●周波数特性: 8Hz-30kHz/1W
●感度: 0.5V
●アウトプットインピーダンス:8Ω、16Ω
●チャンネルバランス: ±0.2dB
●歪率: <2%
●消費電力: 160W
●サイズ: W390 x H190 xD420 (mm)
●重量: 23.5kg
●使用真空管: PCC88x2、ECC85x2、EL309x2
※日本での販売終了を終了致しました。