歴史的名車「ジャグァーXJ12 5.3」。
上品、華麗、優雅、それを全身で表現したような気高くエレガントな佇まい。
「ビッグキャット/豹」と呼ぶに相応しい、ヒタヒタとした、まさに鏡の上を舞い行くような滑らかな乗り心地に、「タッチ/感触」に優れた正確なハンドリングによる操縦性、そしてXJ12を象徴するV型12気筒5.3リッターエンジンはパワフルで粗野無く、スムーズな味わいを始終一貫保ち続ける。そのシルキーなトルクの感触は官能の極致とまで言える。
「EAR V12」は、現代ではもはや作ることが出来ないであろう、この不世出なスペシャルサルーンからインスパイアされ、ティム・デ・パラヴィチーニの経験的な努力の積み重ねによって達成された「洗練された音の気品」を表現できるように、全てを白紙の状態から積み上げたパラヴィチーニ渾身のインテグレーテッドアンプです。
かつての英国車が持ち合わせていたように、絶対的な性能の数値の優劣を超越した、機能がもたらす「心地よさ」や「タッチ」にこだわり、瑞々しい音のヒダが、空間の奥深くまで染み渡り、圧倒的な美しさと繊細さを持って聴く者を包み込むように細心の配慮を持ってパラヴィチーニがデザインしました。
デザイン上のキーポイントとしては、出力管に傍熱式のEL84、5極管を片側チャンネルに6本配置し、パラレルプッシュプルのA級作動として優れたリニアリティーと低歪率を達成できるように工夫されています。
また、フィードバックを使わずに、パラヴィチーニがこれまでリファインを続けてきた「バランス・ブリッジ・モード」と呼ばれる、アノードとカソードをそれぞれの出力トランスの捲線へつなげてワイドバンドな特性と高安定性を実現する独自の回路を採用しています。
またこの回路と真空管の旨味を最大限引き出すために、パラヴィチーニ自身が手巻きで完成させた超広帯域スペシャルオリジナル出力トランスが使用され、ローエンドの鮮やかなディテールと、またスイートで透き通るようなトップエンドの艶を見事に表現します。
これらの数々の斬新なアイデアと高品位なマテリアルを投入した結果、パラヴィチーニのインテグレーテッドアンプのフラッグシップと呼ぶべき作品がここに完成したのです。
アコースティック楽器1本によるリリカルで繊細な演奏を丁寧に瑞々しく表現し、楽器の放つサスティーンが貴方のリスニングルームの1番深い所まで染み込んで行くことでしょう。
勇壮で雄大なオーケストラの多人数、多楽器ならではの分離感と調和感を絶妙なバランス感覚で描き出し、各楽器の細かな動きと音色の持ち味、そしてタクトに導かれた全体のハーモニーの美しさに新たな喜びを感じることでしょう。
スイング・ビートに乗ったブラスセクションの速いパッセージのアタックを逃さず捉え、メロウに吹きあげるヴィブラートの色気あるかすれ声までをも切なげに奏で、そして優しげに唄う女性ヴォーカルの官能的な息づかいに心奪われることでしょう。
パワフルな8ビートのドラムスに呼応して刻まれる、荒々しいオーバードライブの効いた乾いたギターサウンドが、こんなにも生々しく、カッコ良く響くものかと更なる興奮を覚えることでしょう。
真空管アンプによくある、前面に真空管、その後方にトランスが並ぶというオーソドックスなエクステリアデザインではなく、V型12気筒エンジンのカムカバーを彷彿とさせるルックスも、「V12」を所有する喜びをオーナーに感じて頂けるようパラヴィチーニが拘ったスタイルです。
ピアニシモからフォルテシモまで、まるでアクセルペダルに呼応するようにダイナミックに、そしてスムーズに味わい深いトーンを奏でるこの「V12」の官能的な調べをお聴き下さい。